レビューとメモ

見た展示や動画などの一言レビューとかメモとか覚え書きのようなものです。

メモ

 

 90日以上、更新してないと広告が出るようなので、HP Eliteを使っている感想をメモ的に。

 

 ずっと使っている HP Elite ですが、概ね快調に使っていますが、やはり、イラレやフォトショに関しては、性能的には、CORE m3はちょいキツかったかなという感じもしています。クリスタは、相変わらず、さほど問題を感じてません。クリスタに関しては、相変わらず、卓上より2 in1の方が便利かも。

 

 キーボードは、概ね邪魔で外してる状態の方が多くなってきました。外に持って行く時はカバーとしてつけていきますが、あんまり使う事もないせいか、たまに使おうと思うとたまに反応しない時があります(長押しや再起動で直ります)

 

 ワンノートは、結局、あまり使わなくなりました。起動の問題があるので、2 in 1でも手書きノートの方が、やはり便利でした。手書きのメモをたまにまとめるのに使うぐらい。

 

 電源ボタンの下に音量ボタンがあるので、たまに間違って音量をあげようとして、電源を押してしまう時があり、それがやや不満です。

 

 電源を入れてから、多少、起動に時間がかかるようになってきたので、ちゃんと押したのかなーと若干不安になることがあるというか、起動時にスイッチが入ってるのかどうか、どっちの状態か、よく分からなくなる事が稀にあります。

 

 ペンホルダーは一個だと案の定切れたので、ホッチキスで止めて、2個並べてつけて、ペンをホールドしています。プレゼンの時とか、ちょっとダサい。

 

 サブ機としては本当に優秀だと思いますが、やはり、持ち歩くとそれなりに重いので、その辺は難点です。あと、カフェとかだと良いけど、電車とかではさすがに取り出しづらい大きさではあるので、やっぱり、持ち歩くには小型タブレットの方が良いのかもと思う時もあります。(ただ、地方民で電車で移動することがそれほどは無いのでそれほどは問題無いですが)

 

 今のところ、大体、想像の範囲内という感じなので、やはり良い機体だと思います。ハイスペック版が欲しくはなっていますが、そう思うという事は使用感が良いという事かなと。

 

HP Elite x2 1012 G1

h50146.www5.hp.com

 

 

使い勝手が良い

 

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ずっとmacを使っているのだけど、macにペン型のものがなく、windowsタブレットが欲しくなり購入したのでレビューなど。買ってから、大体一ヶ月ぐらいの使用感です。個人の感想なので、あんまり当てにならないかもしれないけど、メモ的に。

 

・使用用途

主な使用用途は、お絵描きとメモ、プレゼン用で、今の所、CLIP STUDIO(クリスタ)6:ONE NOTE 1:Adobe photoshop CC(フォトショ)1:illustrator CC(イラレ)1:その他1ぐらい。ほぼ、お絵描きメイン。

 

・お絵描き 

絵は普通に描ける。

 

初期設定だと、かなりペンがゆるいけど、クリスタのタッチ対応が素晴らしく、思いの外、快適というか、結構、衝撃的な使い勝手の良さだった。ただ、最近、暑さのせいか、低スペック機のせいか、たまに誤動作があり、その辺がちょっと不安定感はある。

 

描画スピードもデスクより落ちるかも。体感的には、描画時間が1.2倍ぐらいかかる感じがする。これはペンの問題もあるけど、ディスプレイの問題も大きいので、ペンが良くても時間はかかるかもしれない。ただ、出先で描ける事を考えると、これで十二分というスペックは感じる。

 


・ペン

ペンはワコムAESという電池式のやつ。かなりゆるい感じで安定感には欠ける。ただ、全然描けないということはなく、それなりには描けた。

 

一応、描いた絵を貼っておきます。

 

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途中、MacBook Proに変えて、cintiq(液タブ)も使ってるけど、最終的なところでも、かなりwinタブの方を使ってるので、このぐらいの絵ならフィニッシュまで描けると思う。

 

・CPUとメモリ

買ったのは、CPUがCOREm3、メモリ4GBで一番グレードの下の奴。

 

思いの外、良かったので、もっと上のグレードでも良かったのかなとも思ったけど、そもそも、お絵描き専用機と化すなら、ペン性能が試用で抜群に良かった東芝のRZ82を買うのもアリだったかなと思わなくもない。というか、かなり迷った末に総合的なバランスでHP eliteにしたけど、絵を描く事のみ考えるなら、HP eliteが良い機種かどうかはわからない。ワコムAESは気になる人は気になると思う。

 

ちなみに、上の絵は、72dpiながら、A0強のサイズで描いていて、元のサイズが64.3MB程度ある。このぐらいだと描いててストレスを感じる事もなかったので、ある程度のお絵描き用ならスペック的にも問題なく描けると思う。もちろん、もうちょっとスペックがあった方が良いとは思うけど、無くてもそれなりにいけそうというか、今のところ、固まる事もなく、そんなに不満はない。

 

 

・ディスプレイ

12インチは、重さとトレードで考えると、この大きさが限界かなって感じのギリギリのラインかと。比率が3:2だそうで、縦置きにしても割と絵が描けるのは良い感じ。ただ、サイズの限界はどうしても感じるところはあって、外部ディスプレイが無いとフィニッシュワークまではちょっとキツい部分はある。


・クリスタ 

クリスタは本当に素晴らしい。拡大縮小、回転、位置移動など、かなり体感的に描ける。タッチ版だと戻るボタンが大きめなのも良い。タッチ版のUIに慣れるとcintiqの方がだるくなる部分もあるというか、どうしても画面を触ってしまうようになったり、そのぐらい今まで慣れていたものすら吹き飛ばす快適さがある。上の絵は手ぶれ補正20ぐらいで作業。0だと辛いかも。

 

 

・フォトショCC

フォトショは低スペック機のせいか、最初タッチ対応の設定がいまいちで誤作動を起こしストレスがあったけど、その後、設定を変えたら使えるようになって、問題なく使えるように。

 

フォトショが使えるので、ある程度のイラスト(似顔絵とか)なら完成までこの機体で出来る。動作的にも問題なく、普通に描ける。ただ、レイヤー効果とかをそんなに使ってないので、それを多用した場合は不明。あと、どうしてもディスプレイの限界があって、最終的に一度デスクで見た方が無難ではある。

 

ちなみに位置移動はクリスタが一本指で出来るのに対して、こちらは二本指でやるので、マックの感圧パッドが念頭にあるのかなという感じもあり。タッチ版は、クリスタ程、快適ではないけど、慣れれば、それなりに使える。ペンは、こちらはかなりブレるので、細かい塗りなんかはクリスタの方が良いのかなーと(色やブラシの問題はあるけど)。

 


イラレCC 

イラレは基本イラストを描くよりDTPに使うのだけど、タッチ版はフォントパネルの出し方などがよくわからず、ほとんど使えない感じ。ただ、イラレはタッチ版のオフの仕方が最初に表示されるので、すぐ元のUIに戻れるようになってて、いつものUIに戻した。

 

というより、そもそもこちらは機体にフォントを入れてないので、DTP機としては、ほとんど使えないのだけど、それでもフォントを無視しながら、出先で版下作りとかが出来るようになったので、結構、便利。今の所そんなに落ちる事も無く、ポストカードサイズの原稿なら普通に最後まで作れた。一応、そちらの画像も貼ってみます。

 

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まあ、画像配置して、文字打っただけだけど。このぐらいなら4GBモデルでも余裕でした。

 


・保護フィルム

保護フィルムはミヤビックスの傷修復のものを購入。しかし、これは、お絵描き用には微妙かも。プレゼン用も考えると傷が目立たないのが良いなーと思ったので、その意味での良さはあるけど、かなりキュッキュキュッキュして、手が滑らなくなる時がある。ただ、その分、ペンも滑らなくて良くなった面もあるけど、タッチの効きも悪くなって、かなり手が疲れる感じもあったり、微妙な所。

 

とはいえ、保護フィルム無しでお絵描きしまくるのは、ちょっと怖いので、次はノングレアのものが良いのかなと思いつつ、ひとまずはそのままで。あ、貼るのも結構大変でした。

 

 

・cintiqとの比較

当たり前ながら、cintiqの方が圧倒的に描ける。ペンの安定性は比較にならないレベル。cintiqに慣れてる人はワコムAESだと、ちょっと辛いかもしれない。自分は普段intuosを使ってる(デザインだとintuosの方が操作しやすく、面倒なので絵でもそのまま使ってしまう事が多い)ので、その比較だと良し悪しあるかなと。

 

ただ、タブレット自体が軽いかどうかっていうのは意外と描く行為に関係があり、winタブの方が感覚的には便利な部分も多いかもしれない。ていうか、タッチ操作がそもそも、ものすごく便利。cintiq touchが、ちょっと欲しくなった。

 

・重さ

重さはタブレットとしては、そこそこ重いんじゃないかと。トラベルキーボードをつけて、1.2kgだそうなので、トータルではそれなりに軽いのかなと思うけど。

 

メインで使ってるMacBook Pro(13インチRetina)の方は、あまり持ち歩いてないので、サイズ的にも重さ的にも個人的に持ち運ぶ気になる限界という感じ。データの少ないサブ機の安心感もあり、結構、こちらは頻繁に持ち歩いている。

 

ただ、タブレットのみをディスプレイとして置いて使ってると、ちょっと触っただけですぐ動いたり、見た目よりかなり軽く、そんなにずっしりはしていない。持ちながら描くのも長時間じゃなければ、問題なく出来る。長時間だと意外と後から疲れるけど。ていうか、今の時期、重さより暑さの方がつらいかな。

 

・2 in 1

HP eliteの宣伝で売りにしてる「3 in 1」(無線により、タブレット、ノート、デスクPCとして使用)というのは、オプションを買ってないので分からないけど、モニターの小ささは気になるので、あれば便利な気はする(デスクPCあるので買わないけど)。高スペック機なら、3 in1にして一台で十分いけそうな感じ。

 

ただ、スペックの問題もあるかもしれないけど、機体の安定性が通常のノートPCより安定してない気がするので、その辺は気になる。というか、2 in1自体、触るの初めてだけど、PCより、かなりスマホに近い感じの挙動で、たまに変な固まり方などがある。多分、この辺が2 in1の課題なのかなという気はする。

 

ただ、タブレットモードによるペン機能は便利すぎて、何かにつけて、Onenoteにメモを取るようになったり、この辺、かなりPCと使用用途が変わってくる感じはある。特にタッチパネルは、だんだん無きゃ困るレベルになるかも。もはやPCよりスマホの方が慣れてるし。

 

windows 10

久々のwindowsだったけど、2 in 1仕様のOSなんだなーというのを理解して、ちょっと感動した。

 

キーボードの着脱でタブレットモードとデスク?モードに瞬時に変わるのも意外と便利。ほとんどタブレットモードしか使わないけど、タブレットモードだと、たまにキーボードが効きづらい時があり、キーボードを頻繁に使うときはデスク用にした方が良さそう。

 

とはいえ、デスクで使うには使いづらいOSなんじゃないかとも思うところはあり、あくまでタッチ用のOSと云う感じ。タッチパネルで使うと、なんて素晴らしいUIなんだ!と思う。iPadよりも全然良い。でも、初期設定だとドキュメントの場所が良く分からないのは何で?とか、慣れてないので、その辺で引っかかる所はいっぱいある。逆説的に、macのファインダーは優秀な気がした。

 

 

・トラベルキーボード

キーボードは、かなり打ちやすい。感圧パッドもまあまあ。

とはいえ、タブレットのみで使う事がほとんどでキーボードはあまり使わないのだけど、マグネット式なので着脱は非常に楽。ただ、取ると邪魔になるので、その辺はネック。

 

・キックスタンド

超便利。買った理由の一つ。デザインも好きだし。イベントなどのディスプレイにも使いやすい。

 


・ペンホルダー

すぐ切れた。二個ついてきたけど、両方切れた。仕方ないので、ホチキスで留めて使ってるけど、そもそも機体から出っ張るので見栄えもよくなく、ペンの収納はちょっと考えるところかも。結局、無くさないように付属のストラップ紐でペンをくくりつけたりしてるけど、紐がついてるとダサい上にちょっと不便。

 


指紋認証

便利だけど、かなり通りにくい。通ったら嬉しいようなレベル。最近ちょっと慣れてきたのか、通る事が多くなってきたけど。スリープのたびにログインするので、これが通らないと、結構、使いづらいと思う時はある。

 


・機体の質感

これは触ってみたwindowsタブレットの中では一番よくて、これが買った一番の決め手かも。

 

一見して頑丈そうだし。デザイン的にも、なかなか良い。ただ、画面横にインテルのシールが貼ってあるのは(保護フィルム的にも)ちょっと邪魔。

 

ファンレス

これも買った理由の一つ。音は静かで外で使う時、気にならなくて良い。

 

ただ、座椅子で抱えて使うことが多いので、暑い時は使う気にならないレベルで暑い。いや、ノートPCなんてファンがあっても暑いし。そもそも暑い中で使わない方が良いんだろうけど、夏はちょっと外では使えないと思う。暑いと誤動作が増える感もある。

 


・総合評価

ずっとmac畑で、2 in 1を使ったことがなかったので、一概には言えないけど、自分の想像から言って、ほとんど不満のない機体だった。かなり満足というか、買った後に、今後は、これの高スペック機一台にしても良いのかなーと思わなくもない程。まあ、フォントを筆頭に今までのデータの蓄積があるので、なかなかそうもいかないんだけど。あと、Time Machineが超便利でmacから離れられないというのもあるけど、最初からwinユーザーの人は、これ一台でも良いのかも。

 

ていうか、多分、ペン付き高性能2in1自体、未来で、あと、ペンを含む動作の安定性さえ増せば完璧なのかなと思う。逆に言うと、もうちょっと進化の余地はあると思うけど、重さ的にも機能的にも、そろそろ、かなり完成されてる域ではないかと。とりあえず、あとは壊れない事と使ってるうちに動作が重くならない事を祈るのみです。

 

フェルメールとレンブラント展

 

www.tbs.co.jp

 

 

 良作がさくっと見られた。

 

 ☆

 

 フェルメールレンブラント展を見て来た。正確には上のリンクにある通り「フェルメールレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」と言う。タイトルはフェルメールレンブラントがメインだが、目玉は1点ずつしかない。というのは、この手の展覧会で最近ありがちな構成だが、しかし、今回は後ろの部分も重要かもしれない。カレル・ファブリティウスの作品など良い作品が多かった。 

 

 フェルメールの作品は「水差しを持つ女」だが、今まで見た中ではランクの高いものではないと思った。但し、やはり構図の妙などはうなるものがあるというか、他の作品群より「今」に適した部分がある気はする。シンプルで飽きがこない構成になっている。このへんは光学機器を用いたある種のデジタル感が今にフィットしてる部分もあるのかもしれない。

 

 レンブラントのベローナは一級品だ。素晴らしい作品だと思った。自分としては、こちらが目当てで見に行った。

 

 レンブラントの重厚感もまた今のデジタル厚塗りに近い部分があり(というか、順序が逆だが)、このへんの絵画がいま日本で人気なのは、そういう理由もあるのかもしれない。まあ、とにかく巧い絵だ。そして、迫力がある。

 

 他の作品も割合、質の高いものも多く、見ている間、ヨーロッパの美術館にいるような気分にさせてくれた。が、いかんせん入場料の割に作品数は少なくコストパフォーマンスは悪いかもしれない。とみんな思ったのか、フェルメールにしては人が少なく、じっくり見られたので、場合によっては逆にコスパよすぎ!って気分になるかもしれない。ていうか、そう思った。

 

 そういえば、2011年に放射性物質降り注ぐ中、Bunkamuraで見たフェルメールも空いててじっくり見られたなーという記憶が蘇った。というぐらい今回、空いていたのだが、今回も雪の日に見たからというのもあるだろう。

 

 もちろん、空いてるのは単に会期最初の方だからというのもあると思うので、これから混むのかもしれない。でも、単にここ数年でフェルメールが紹介されすぎて、ちょっと飽きて来た部分もあるのかもという気はしている。そろそろフェルメールレンブラントだけでなく、他の作家に焦点を充てた作品展などもやりだしそうだなーと思わなくもないぐらい今回は他の作品も良かった。

 

 

サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡

 

www.fashion-press.net

 

 

 魔法のような絵画 ☆☆☆

 

 

 話題のサイトゥオンブリーの展覧会を見てきた。紙の作品だけという事で、どうなのかなーと思っていたが、見に行ったら、素晴らしい作品の数々で非常に良かった。

 

 

 内容は、子どものラクガキのようなものを色々な画材で構成して、自在に描く。といった感じ。ただそれだけ。

 

 

 一見、単純な絵に見えるが、使ってる要素は意外と多くて、かなり構成が複雑な印象。そして、絵がほとんど完璧に決まっているように見える。これには驚く。見てて、魔法か!と思うような。

 

 

 推測だけど、たぶん描き方は単純なのだけど、蓄積の過程が複雑なのだと思う。簡単に描けそうというか、構造を知れば、簡単に似たものが描けると思うけど、これを描くのは容易ではないというか、奇跡的な感じすらする。というのも、実際に絵を描いてる人間なら分かると思うのですが、ラクガキのように描いた絵は、単純には、このようには「決まらない」ので。描きすぎたり、描き足りなかったり、構成が狂ってたり、コラージュがダサかったり。

 

 

 こういうのも、子どもが描くと、逆にわりかし素直に線が出たりして気持ちよいのだけど、それ故に匿名性が高く、理知的でもないので、流石に「作品」と呼ぶには無理がある(個人差も運もあるので、全部がそうなるとまでは言えないけど)。

 

 コラージュも教えると、教えた側の人間の意識がもろに出てしまい、それはそれで良いコラボになる時もあるけど、少し何処かが抜けてしまう。やっぱり、画面が支配されてないものになってしまい、うまく決まらない。

 

 反面、大人がラクガキをやると理知的すぎるか、理知的であるのに知識が足らないか、あざとさみたいなものが出てしまい、作品にしようとすると、うまく収まらないものが多い。特に構成とか、結構、難しくて、何処で止めればいいか、うまい収まりどころがない絵が多く、特に自動筆記みたいな手法は止まりづらいので、描きすぎてしまう事も多いはず。

 

 そういうのが、サイトゥオンブリーの絵は、かなりラクガキの良さに近く、スッと出てて、自由度を感じ、なおかつ良いあんばいに「止まってる」。とにかく「ピタッ」としてるなーと。そういう強度を感じる。

 

 結構、直したり付け足したりも多いと思うのだけど、そういうのも含めて、決まってるものが多かったなというのが一番の印象かなと。いっぱい描いた中で優れたものだけ残してるからなんだろうけど、でも、そうでもないのかなと思う部分もある。単に天才なのか?とか。

 

 例えば、線とか、塗りとか、或いは、ちょっとしたコラージュとかが、いちいち粋なので、こういうのはセンスというべきか、たぶん何らかの蓄積なんだろうけど、とにかく常人に描くのは無理だと感じる。この展覧会では、基本的に年代順に作品が置いてあるのですが、後ろの方に行くに従って絵が良くなって行ったので、そういう意味でも蓄積による絵なのかなーとは思う。そして、そこも凄い。(晩年の方が良いのは、トレンドによる作用の可能性もあるので、100年後とかにフラットに見たら、また違う感想になるかもしれないけど)

 

 いずれにせよ、こういう技法に特徴がある絵は似たものを描くと似てるなーという感想にしかならないので、ラクガキ的な絵を描けば、サイトゥオンブリーみたいだなーとなるような作家ではある。なので、唯一無二といえば、唯一無二で、似たような作品は今後も出続けるだろうけども、美術の世界、先にやったもん勝ちみたいな所もなくもなく、この路線は、ある意味ではデッドエンドしてるのかも。ポロックとかバーネットニューマンの路線がそうであるように。 

 

 とはいえ、展覧会の最後の部屋を抜けたその先に奈良美智さんのドローイングルームがあるのだけど、こちらは常設なので、たまたまな部分もあるんだろうけど、この構成も面白かった。というのも、サイトゥオンブリーを見た後に奈良さんのドローイングを見ると、ん?そういえば、似た部分があるな。と思う所もあったから。こういう所に美術の世界の「更新」を感じる。

 

 作品年代的にも最後の部屋と奈良さんの部屋にあるものはそんなに違いはないはずで、そういう意味でも最後ちょっと対比的になってる所もこの展覧会の意外な面白さではありました。

 

 

ナショナルギャラリー 英国の至宝

 

 美術好きは必見  ☆☆☆

 

www.cetera.co.jp

 

 大変おもしろいというか、興味深い作品だった。

 

 と言っても、美術好きじゃない人は見てる間、苦痛でしかなく耐えられないかもしれない。美術好きでも苦痛なところはある。

 

 この作品は、時間が3時間程の長いドキュメンタリーで、基本的には「おもしろい」作品ではない。ベースとしては、しんどさがある。単調だ。しかし、それを上回る「おもしろさ」もまたある。美術好きとしては、美術の理解を深めるのにこれほど適した映像は今まで無かったとすら思ったし。それぐらい「おもしろかった」。

 

 この「おもしろさ」は評論的な本を読む楽しみにも似ている。字幕を読んでるので、文字通り、学芸員の解説というかたちで「評論」も読んでるのだが、そのクオリティが高いので、それだけでも面白い。ケネスクラークの「絵画の見方」とか、中野京子の「怖い絵」などが好きなような人間には必見だろう。ただ、映画の場合、時間が縛られる分、本より苦痛がちょっと大きいかもしれない。見るのを止められないから。

 

 反面、映像があって、先に進むので頭には入りやすい。まあ、どちらの場合も、場合により眠くなる。寝不足で見ると、ちょっとつらいかも。

 

 内容は、ナショナルギャラリーの日常的な風景を「ただ」映してるだけの作品だ。文字通り「ただ映している」。劇中、登場人物の主張は激しいが、撮ってる作家の主張は、驚く程、感じられない。感じるのは「ナショナルギャラリー」と「美術」。こういう映像はありそうであまり無い。大体の映像は、余計な解説やコメントが入ってしまうし。情報が過剰だ。特にテレビドキュメンタリーなどは、そういうものが多い。

 

 その意味で、これは一方で実に「映画らしさ」を感じる。テレビだとチャンネル変えそうだし。DVDなら途中で止めそうだが、映画なら、とりあえず席を立たずに見る。

 

 個人的にかもしれないが、こういうタイム感、時間が重要な役割を持つ映像には「映画」を感じてしまう。なので、美術好きじゃなくても、映画好きなら、OKな作品かもしれない。

 

 いずれにしても、この映画にただただ美術好きの自分は興奮し、ただ、そこにあるものがそこにあるものとして映され、「美術」の知識が大幅に深まった。そこに「説明」はなくとも、いままで本で得たような知識が体感的に分かった。

 

 この映画は、ただ流れるだけで美術についてのエトセトラが頭に入りやすく、大変、為になる。観客の視線、職員の視線、絵画そのもの、各種イベント、そして、館長や学芸員の視線のコントラストが大変あざやかに「ART」というものは、こういうものだという事を包括的に訴えてくる。それも押しつけでなく。確固としたかたちで。

 

 「時間が長い」という事もこの理解の一助になっているのだろう。終わったあとは、もうちょっと見たい。聞きたい。知りたいという欲もあったが、流石にお尻もいたいので、ようやく解放されたという気持ちもあった。3時間、大体そんな感じかなというのもあって、この長さで丁度良い気もする。かなり長い気も一方ではするけど。。。

 

 それにしても、これは「美術」を探る上で、非常に価値の高い映画だ。まあ、ナショナルギャラリーの貴重映像だから当たり前なのだけど、大画面に映る絵の数々も楽しいし。行った事ない場所に「ちょっと」行った気になれる。日本の地方にいて、そんなに満足に「良い絵」を見られない美術好きとしては、こういう時間はより貴重な時間として感じられた。断片しか無いからこそ、「より」知りたいと欲求する。そんな感じもあった。

 

ベイマックス


 超絶的におもしろい  ☆☆☆☆


 あんまり、そそらない題材ではあったが、見たら、やたら面白かった。技術力が凄すぎる。最近、インターステラー、ゴーンガール、ベイマックスと見たのが当たり続きなので嬉しい。


 こういうラセターのような才能をトップに冠しながらも、基本、チーム戦で構築的に一つの作品を作って行く今のネットワークを媒介とした美術のあり方みたいなのが、今のハリウッドにフィットしているのだろう。と見て思った。


 日本だとジャニーズやAKB、エグザイルとか、音楽がそのような様式になっているけど、アメリカでは、ハリウッドに才能が集結してる感じ。


 それにしても、チーム戦になると分かりやすいアイコンも必要であるし。続編が増えるわけだけど、こういう新たなメジャータイトル(アイコン)になりそうなものに出会うと嬉しい。続きも楽しみ(そして、3作目ぐらいやると飽きそうだが)

 

 しかし、最近、ハリウッドで日本的意匠が流行りなのかな。日本人が主人公だし。結構、援用も多かった印象。そういえば、トランスフォーマーも元を正せばそうであるから、かつて、子ども向けアニメが世界に流れた事によって、世界的にそういうものに馴染みがあるという事か。

 

 

長谷川等伯「松林図屏風」

 

 東京国立博物館

 

 

 めちゃくちゃ凄い ☆☆☆☆☆

 

 

 新春公開という事で、見て来た。近づくと筆致が荒く、遠目で見ると静謐。草稿との話もあるが、抽象表現主義などを通った現代の目で見ると、ほとんど完璧な一作。

 

 昔の作品なので、偶然の産物な可能性もあるような気がするが、それも含めて、凄いの一言。今まで見た日本の美術の中でもトップクラスかも。(ほか、自分が見た中で、これはワールドクラスだなと思った日本の絵としては、小磯良平「斉唱」などがある。<無論、これは個人の好みやタイミングにもよる。松本竣介香月泰男川端実など、(ある時期の)概ねの作品が好きな作家もいるが、これは逆に作家主義的な好みだろうと思う。)

 

 久々のメモでした。(前が花子とアンとか・・・マッサンも見ております。)