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凄まじいつくりのコンテンツ ☆☆☆
皆様あけましておめでとうございます。今年もぼちぼちやっていこうと思います。よろしくお願いします。
大晦日は、紅白を最初から最後までキチンと見てましたので、その感想でも。
まず、全体的なつくりですが、これは、もう、日本でナンバーワンの構成を誇る圧倒的な生番組と言って良いでしょう。あれだけの内容をあれだけの時間に詰め込めるのは、この番組以外に無いと思います。予算規模で言っても、他では無理そうですが。
ガラパゴス的なつくりではありますが、やってる事は世界に通用するレベルでレベルが上がってる感じもします。これを仕切れるチームが世界にどのぐらいあるのだろうか?という意味で、嵐のコンサートなどにも似たものがありますが、こういうのを見ると、日本の文化も凄い所に来ているなと思えます。
個人的に、NHK歌謡コンサートも好きなのですが、基本的には、フォーマット的にあの番組を踏襲してるというか、毎週、生番組をやり続けているその地道なスキルをベースにして組み上げているお祭り的な番組と言っても良いのでしょう。歌謡方面のスターをつくるという意味でも、お客さんを増やすという意味でも、その絡め方の「ゴール設定」または「ヒエラルキーづくり」に成功してると思います。
これは、家庭のテレビが大画面化してきて、表現領域が拡大した事に対して、真摯に「そのための」コンテンツづくりを続けて来た結果だという風に個人的には思っております。今のテレビは、むしろ、予算規模が縮小して、スポーツコンテンツ以外で大画面のメリットが享受できる番組が少なくなってるように思うので。
そのへんの「時代感」は、ここ数年、もしかしたら、十数年前ぐらいからかもしれませんが、紅白の演出の変化にも現れて来てるようにも思います。流石に毎回、視聴率を取る番組だけあって、内容も時代に沿って変遷しているといった印象です。見てて、フォントの小ささとか、モブシーンの多さなども印象的でした(今回は、詰め込み過ぎで、歌謡的な間を好む層を置いて行ってる感が少しありましたが)
とはいえ、「歌合戦」なので、ステージの内容が重要です。とりわけ「歌」の巧拙は内容をかなり左右していると思いました。個人的には、近年、紅白はライブメインのショー的な音楽シーンのキチンとした受け皿として、その存在感を増しているように感じます。
それは、ここ最近、あまちゃん等を折り込む企画・演出力もさることながら、肝心のステージが良くなってるようにも感じるからです。とりわけ、ここ数年、白が優勢であり続けるのは(ジャニーズ人気もありますが)、そのスキルにおいて、白組に面白いメンバーが増えたからだとも感じています。
今回、サブちゃんが引退する事になりましたが、白組においては、氷川きよし君の存在感なども、やはり圧倒的です。このクラスの若手歌謡歌手がいると、未来においても、歌謡層の興味を引っ張れる所もあり、それにプラスして、(初見ですが)福田こうへいさんのような歌手が出て来ると、未来に向けて厚みがあるなーと感じられます。
対して、紅組は、石川さゆりが、今回、圧巻だったと思ったと同時に、坂本冬美も貫禄が出て来てる感はありますが、それに比して、若手歌謡層が薄いのと同時に、オーソドックスに唄える歌手の減少も気になります。最近、いきものがかりが終盤に出て来るようになりましたが、終盤で出て来るには、いきものがかりはポップすぎるので、ちょっと弱いなという感じもしてしまいます(ちなみに、自分は、いきものがかかり大好きです。もうちょっと年数が重なれば、良い感じになるでしょう)。
無論、全体的には、ジャニーズの番組になりつつあるので、その演出方法も相まって、ジャニーズ的なメソッドが有効になってる感は否めません。SMAPの存在感もデカい。というより、そもそもステージの規模を見るにつけ、日本のショービジネスにおいて、ジャニーズが圧倒的に先を行ってしまってるのだという感も無くはない。
芸能の印象的には、日本の音楽界全体的に女性が元気なイメージもあったのですが、こうして見てみると、女性に存在感のある歌手が少なくなってるような感もあり、これは見てて意外でした。というより、考えると、とりもなおさず、安室、宇多田、椎名林檎あたりの不在に依る所もあるのでしょう(男性もミスチルやサザンなどいませんが)。とりわけ、安室がいるかいないかは大きいような気はします。
また若者の中でボカロ文化とアイドル文化が優勢になった所で、若い女性の歌に対するスタンスが変わって来てる面もあるのかもしれません。特にボカロ文化の取り入れ方などは、今後の紅白の未開拓地と行った所でしょうか。
アイドルに関しては、個人的に、48グループのステージは地道に良くなって来てるなーなどと感じましたが、それとは対極のソロ的に力量を見せる形、例えば、松浦亜弥のような正統派な感じになった歌手をどう捉えるかなども気になります。
歌謡界的には、そういう存在こそウェルカムだと思うのですが、それとポップシーンとどう折衷していくのか?こういった才能を大事に育てて行けるかどうかは、アイドルシーンの「未来図」にとって重要な感じはしています。いずれ、現在の松田聖子のような所にひとまず収斂していくような気はしてますが。
以上。かなり雑に列記しましたが、最後に、今回の紅白において、サカナクションの存在については、特筆事項でした。
サカナクションのステージは、「ROCK」または「カウンターカルチャー」というものを考える時に、大変、有効なものだと感じました。それは、Linked Horizonにも違う形で感じられたような「若者感」ですが、やはり、紅白において、ショー的なステージの主軸がしっかりしてくるに連れ、むしろ、カウンターカルチャー的なものが「存在」できるのではないか?そうも思った今回のステージでした。そういう意味でも、サカナクションが紅白に出てくれたのは面白かったです。いや、「歌合戦」なので、単純なステージ自体は、ちょっと弱い面もあったように思いますが、そこが良いのではないか?とか。ドリカムとかと比較したりして、どうなのか?と。或いは、泉谷しげると比較してなど。
そんな感じで、あまりに詰め込まれてたので、いろいろ書ききれませんが、ひとまず、そんな感想を持ちました。あと、全体的には、綾瀬はるかの紅白だったという事で。別の意味で、カウンターを感じました。