レビューとメモ

見た展示や動画などの一言レビューとかメモとか覚え書きのようなものです。

松本零士について

 
 いよいよ石森章太郎について書こうかなと思いつつ、009がなかなか読み終わらずに、もうちょっと色々読んでからというのもあるので、先日、亡くなった松本零士について先に書いてみる。


 松本零士は、漫画家としても超偉大であるが、マンガ史に興味がある人間からすると「漫画歴史大博物館」という本で、戦前戦後の漫画のコレクションを見せてくれて、日本の漫画研究に多大な貢献をした人物でもあるという認識だ。自分も断捨離の時に松本零士自体のコレクションは、ほとんど手放してしまったのだが(「銀河鉄道の夜(ヤマビコ13号)」とかもあったので、めっちゃ後悔してるのだが)、幸いにもこの本は資料性が高すぎて手放さず、今こうして昔を振り返る時にめちゃくちゃ役に立っている。大変ありがたい。


 そして、漫画の功績というと基本的には「銀河鉄道999」や「戦場漫画シリーズ」「男おいどん」などが代表作になるのだろうけど、アニメの世界では「宇宙戦艦ヤマト」がガンダム以前に完全な覇権を取っていて、90年代ぐらいまでは、その影響力に絶大なものがあったとは思う。


 とりわけ後に与える大きな影響として、ガイナックスのように「計器類のような意匠的な方向性」で多大な影響を受けた方向性と、もう一つは、たしかCLAMPも影響を受けたと言ってた気がするけど、「複数の漫画間でキャラクターを横断させて作品の世界観を広げる」というサーガ的な方向性がかなり大きいんじゃないかと個人的には思っている。

 
 と考えて、今現在、この方向性で思いつく漫画といえば、「ONE PIECE」だろう。


 いや、絵柄は全く違うので、実際「ONE PIECE」が松本零士の影響をどの程度受けているかは分からないが、宇宙海賊とはいえ、ONE PIECE以前に日本で一番有名な海賊のキャラクターといえば、やはり、ハーロックになるだろうと思うので、作者の世代的に言っても、全く影響を受けてないという事はないのではないか。と思って調べたら、やはり影響を受けているようだった。月曜のジャンプでコメント出るかな。というか、今までなんで思いつかなかったんだろう。


 と考えてみたら、意外と「ONE PIECE」の作品構成自体、どことなく「銀河鉄道999」の冒険譚に似ている気がしてきた。とりわけ、最終的な謎の解決に向かって、ポイント、ポイントを渡り歩いて目的地に向かっていくという構成は、よくありそうで意外と少ない少年マンガの長編構成ではあるのかなと。


 まあ、そもそも「ONE PIECE」もこれ一作で完結しているとはいえ、作り方としても松本零士のような数多のキャラクターが連綿と連なって色々なエピソードが横断していく構成になっているし。松本零士をふと振り返った時に意外と「ONE PIECE」は松本零士作品と構成が似ているのではないかと思ったので、ちょっと書いてみた。


 ご冥福をお祈り致します。