レビューとメモ

見た展示や動画などの一言レビューとかメモとか覚え書きのようなものです。

美術館について

 

また大川栄二さんの本から考えてる面もあるのだが、美術館について。

 

 

やはり、大川美術館のように常設の美術館があると無いとでは全然違うと言うような事は思う。

 

 

自分のいる群馬県館林あたりの環境というのは、割りと美術館があって、いろいろ楽しめたりするのだが、それでも、一番に、大川美術館で安定の作品群が見られるというのは、ある種の安定感につながってるなーというような事は思う(残念ながら、館林美術館は常設を見に行く場所ではないので。ポンポンのファンは見に来るのかもしれないけど<でも、企画展のスペースの方が広い)。

 

 

企画展は、映画興行的に期間が限られてるので、見逃す事も多く、議論のベースになりにくいが、その点、常設はみんなが気軽に見に行けるので、議論がしやすいし。議論したあとに、また見に行ける。これは大きいだろう。そこに比較的最新の作品があったり、体系的な収集をしていたりという事があるかどうかは大きな問題となるような気はする。

 

 

ちなみに、自分の周りにも松本竣介のファンは結構多く、これは大川美術館の影響も強いとは思う。

 

 

また、例えば、単純に海外から日本に観光に来るにあたって、その人が松本竣介のファンであれば、大川美術館に来るかもしれない。

 

 

しかし、例えば、海外の石田徹也ファンは、今、石田徹也がガゴシアン(香港)でやってるという事で、香港に行くか、日本に来たとしても、観光がメインだとしたら、そんなに美術館に行きたいという事にはならないかもしれない。

 

 

もうガゴシアンが扱ってる時点で日本における石田徹也のコレクションも難しくなるような気はするが、この辺の作家を日本の美術館の何処かが、ちゃんと体系的に収蔵しておいた方が良いのではないかという事は思わなくも無い。村上隆とかは、もう無理だろうけど。

 

 

あと、美術館鑑賞の地方と東京の差だが、はっきり言って、美術品を見る環境は地方(地元)の方が良いと思う。

 

 

これは単に空いてるからだが、それだけでなく、地元に美術館が限られてる事によって、興味ない展示も頻繁に見る機会が増えて、それも割りと良い。

 

 

無論、これも常設が充実してれば、そこで偶然の出会いがあったりするのだが、東京の常設というのも、国立博物館を除けば、そんなに充実してるなーという所も少ない気がする。(正直、大川美術館を超えるコレクションもそんなに無いのではないか。知らないだけかもしれないけど。個人的に、千葉の川村美術館は、常設に足を運ぶスポットだけど、これも地方だし)

 

 

東京の混んでる中で見る鑑賞体験というのは、割りと「勉強」、「好奇心」に基づくものが多い様な気はする。混み方も結局、そこに基づくのではないか。(もっとも、東京はギャラリーが豊富なので、そっちはまた別だが。)

 

 

と言いつつ、自分も見てる数自体は、東京の企画展の方が多くはなるのだが、そういう体験自体が少しゆったりしてない感じで、どうなのかな?と思わないでもない最近ではある。

 

 

では、じゃあ、どうすれば?と言って、常設で企画展並みの作品を収集してくれるのが一番良いんだろうけど、そうなってない状況下では、予算編成的に、もう、それも無理なんだろうなーというか、こういう形の鑑賞体験が続くのだろうなーとは思うのだが。

 

 

まあ、ただ、ある意味では、企画展の充実があるので、色々な作家をそれによって知れて、勉強熱心に美術を見られるという点では良いのかもしれないけど。自分もナンダカンダ言って、楽しんでるし。図録も結構、買ったり。