レビューとメモ

見た展示や動画などの一言レビューとかメモとか覚え書きのようなものです。

ナショナルギャラリー 英国の至宝

 

 美術好きは必見  ☆☆☆

 

www.cetera.co.jp

 

 大変おもしろいというか、興味深い作品だった。

 

 と言っても、美術好きじゃない人は見てる間、苦痛でしかなく耐えられないかもしれない。美術好きでも苦痛なところはある。

 

 この作品は、時間が3時間程の長いドキュメンタリーで、基本的には「おもしろい」作品ではない。ベースとしては、しんどさがある。単調だ。しかし、それを上回る「おもしろさ」もまたある。美術好きとしては、美術の理解を深めるのにこれほど適した映像は今まで無かったとすら思ったし。それぐらい「おもしろかった」。

 

 この「おもしろさ」は評論的な本を読む楽しみにも似ている。字幕を読んでるので、文字通り、学芸員の解説というかたちで「評論」も読んでるのだが、そのクオリティが高いので、それだけでも面白い。ケネスクラークの「絵画の見方」とか、中野京子の「怖い絵」などが好きなような人間には必見だろう。ただ、映画の場合、時間が縛られる分、本より苦痛がちょっと大きいかもしれない。見るのを止められないから。

 

 反面、映像があって、先に進むので頭には入りやすい。まあ、どちらの場合も、場合により眠くなる。寝不足で見ると、ちょっとつらいかも。

 

 内容は、ナショナルギャラリーの日常的な風景を「ただ」映してるだけの作品だ。文字通り「ただ映している」。劇中、登場人物の主張は激しいが、撮ってる作家の主張は、驚く程、感じられない。感じるのは「ナショナルギャラリー」と「美術」。こういう映像はありそうであまり無い。大体の映像は、余計な解説やコメントが入ってしまうし。情報が過剰だ。特にテレビドキュメンタリーなどは、そういうものが多い。

 

 その意味で、これは一方で実に「映画らしさ」を感じる。テレビだとチャンネル変えそうだし。DVDなら途中で止めそうだが、映画なら、とりあえず席を立たずに見る。

 

 個人的にかもしれないが、こういうタイム感、時間が重要な役割を持つ映像には「映画」を感じてしまう。なので、美術好きじゃなくても、映画好きなら、OKな作品かもしれない。

 

 いずれにしても、この映画にただただ美術好きの自分は興奮し、ただ、そこにあるものがそこにあるものとして映され、「美術」の知識が大幅に深まった。そこに「説明」はなくとも、いままで本で得たような知識が体感的に分かった。

 

 この映画は、ただ流れるだけで美術についてのエトセトラが頭に入りやすく、大変、為になる。観客の視線、職員の視線、絵画そのもの、各種イベント、そして、館長や学芸員の視線のコントラストが大変あざやかに「ART」というものは、こういうものだという事を包括的に訴えてくる。それも押しつけでなく。確固としたかたちで。

 

 「時間が長い」という事もこの理解の一助になっているのだろう。終わったあとは、もうちょっと見たい。聞きたい。知りたいという欲もあったが、流石にお尻もいたいので、ようやく解放されたという気持ちもあった。3時間、大体そんな感じかなというのもあって、この長さで丁度良い気もする。かなり長い気も一方ではするけど。。。

 

 それにしても、これは「美術」を探る上で、非常に価値の高い映画だ。まあ、ナショナルギャラリーの貴重映像だから当たり前なのだけど、大画面に映る絵の数々も楽しいし。行った事ない場所に「ちょっと」行った気になれる。日本の地方にいて、そんなに満足に「良い絵」を見られない美術好きとしては、こういう時間はより貴重な時間として感じられた。断片しか無いからこそ、「より」知りたいと欲求する。そんな感じもあった。

 

ベイマックス


 超絶的におもしろい  ☆☆☆☆


 あんまり、そそらない題材ではあったが、見たら、やたら面白かった。技術力が凄すぎる。最近、インターステラー、ゴーンガール、ベイマックスと見たのが当たり続きなので嬉しい。


 こういうラセターのような才能をトップに冠しながらも、基本、チーム戦で構築的に一つの作品を作って行く今のネットワークを媒介とした美術のあり方みたいなのが、今のハリウッドにフィットしているのだろう。と見て思った。


 日本だとジャニーズやAKB、エグザイルとか、音楽がそのような様式になっているけど、アメリカでは、ハリウッドに才能が集結してる感じ。


 それにしても、チーム戦になると分かりやすいアイコンも必要であるし。続編が増えるわけだけど、こういう新たなメジャータイトル(アイコン)になりそうなものに出会うと嬉しい。続きも楽しみ(そして、3作目ぐらいやると飽きそうだが)

 

 しかし、最近、ハリウッドで日本的意匠が流行りなのかな。日本人が主人公だし。結構、援用も多かった印象。そういえば、トランスフォーマーも元を正せばそうであるから、かつて、子ども向けアニメが世界に流れた事によって、世界的にそういうものに馴染みがあるという事か。

 

 

長谷川等伯「松林図屏風」

 

 東京国立博物館

 

 

 めちゃくちゃ凄い ☆☆☆☆☆

 

 

 新春公開という事で、見て来た。近づくと筆致が荒く、遠目で見ると静謐。草稿との話もあるが、抽象表現主義などを通った現代の目で見ると、ほとんど完璧な一作。

 

 昔の作品なので、偶然の産物な可能性もあるような気がするが、それも含めて、凄いの一言。今まで見た日本の美術の中でもトップクラスかも。(ほか、自分が見た中で、これはワールドクラスだなと思った日本の絵としては、小磯良平「斉唱」などがある。<無論、これは個人の好みやタイミングにもよる。松本竣介香月泰男川端実など、(ある時期の)概ねの作品が好きな作家もいるが、これは逆に作家主義的な好みだろうと思う。)

 

 久々のメモでした。(前が花子とアンとか・・・マッサンも見ております。)

 

花子とアン

http://www.nhk.or.jp/hanako/

 

思いのほか面白い  ☆☆☆

 

 

あまごちが面白かったので、その疲れもあり、そんなに期待せず、最初の方は見てなかったのだけど、ふとした拍子に再放送を見たら、一発でハマった。

 

 

描写も丁寧だし。画面も好きな感じで(田舎のシーンはちょっと板についてないというか違和感があるけど)、演技も好感が持てる。

 

 

最近は、こういう勉強して立身出世するような話に弱い面もあるかもしれない。

 

 

勉強して人生が変わるのは今もそうなんだけど、今の時代でそういう話をしたら、あんまりリアリティ無いだろうし。こういう事がある所が昔は夢があったみたいに語られる主要な部分なのだろうなーと思いつつ、見てる。もっとも、主人公を通さず、冷静に見ると、階層差が今の比じゃないくらい固定されてて、あんまり夢のない時代なんだけども(だからこそ夢が際立つというか)。

 

 

「アナと雪の女王」

 

http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/anayuki

 

 

 見た。凄かった。  ☆☆☆

 

 

 とにかく凄い映像だった。こないだの「ゼロ・グラビティ」もそうだが、最近のハリウッド映画はまた一つ何かの技術が上がったのかなという感じもしなくもない。なんか見てて、凄いなっていう感じがあった。

 

 

 アナのキャラクターの作り込みも凄い。ホントに生きてるみたいというか、アニメで再現するには凄いキャラクター設定だと思った。

 

 

 音楽も良い。ミュージカル仕立てだが、曲が楽しいので、見ていて楽しい部分もある。自分は吹き替えで見たので、最初ちょっと違和感を感じたが、しかし、主役の神田沙也加も思いのほか巧かった。最初は普通に声優さんがやってるものだと思って見てた。

 

 

 ストーリーも面白く、全体的に良い映画だった。

 

 

タカノ綾「すべてが至福の海にとけますように」

 

http://gallery-kaikaikiki.com/

 

 

ようやく見た。じわじわと良かった。 ☆☆☆

 

 

カイカイキキギャラリーにて、タカノ綾、日本では8年ぶりとなる個展が開催中。震災をテーマにした展覧会だそうだが、3月11日に見てきた。

 

その前に、8年前の展覧会、パルコでやった「都会犬」だと思うが、それを偶然にも見ている。

 

その時は、たぶん映画を見る前に時間が空いたので、ふらっと入ったような記憶があるが衝撃を受けた。日本人の展覧会という事では生涯ベスト3に入るような出来というか、今でもその時の記憶を鮮明に思い出せるほど鮮烈な印象がある。

 

それを受けての今回の感想なので、ちょっと思い入れというか、先入観がある。

 

色々思う所あって、感想が長くなりそうだが、そういうのはひとまず割愛して、全体的には、随分、絵が変わったなー。落ち着いてるなーというか、次元の位相の狂うような絵だと思った。例えば、絵が軽いのか深いのかとか。構成がどうなのかとか。絵がデカいので、余計に画面をうろうろする。

 
 
そんな感じで見てるうちに、最初は、キャンバスの絵よりアクリル板やセル画の絵にピンと来ていたのだけど、途中から、やっぱり、キャンバスの方が良いなーと虜になった。
 
 
キャンバスの絵は、マチエール等そんなに凝ってる風でもなく、描写も早そう。基本的には、絵が積極的に深みを排除してるようにも見えるけど、最終的には、絵が深いなーという印象になって、そういうのはディテールとか画題とかだろうなーとは思うけど、そういう事をいちいち捉えてる内に頭がぐるぐるしてしまう。

 

或いは、もっと単純にこの絵は雑なのか丁寧なのか?とか、そのバランス感覚が絶妙で見るポイントがぐるぐると回る所もある。単に、妙なのかもしれない。
 
 
しかし、全体的には自分たちに「近い絵」だと言えるんだろう。マンガ的な絵の延長で落書き的に描ける感じが全体的に漂う。実際に描けるかはともかく、その上で、だからこその「遠さ」が鮮明になる。
 
 
例えば、それは、前に同じ場所で見たアンセルム・ライラとかを思い出しつつ、ああ、あれとは違うなー。これがアートなのかー。自分たちと近いものだなー。デザフェスギャラリーにあってもおかしくなさそうだなー。とはいえ、こんなのあったら、絶対、ビビるだろうなー。こんなの絶対、描けないなー。遠いなー。というような、そんな感想。
 
 

 

そういった全体のバランスがいちいち妙な地点で決まっている感じがする。これはディテールの描写に依る所が大きい気がしないでもないけど、それ自体も単なる「才能」か?とも思わないでもない。単に天才なのかもしれない。

 

 

この感想は、例えば、奈良美智の絵を見た時の感想とは、全然ちがう。しかし、岡崎京子のマンガを読んだときの感想などには、近いのかもしれない。速度感の早さは、結構な重要性な気もするし。そういうのが沸き立たせる部分もあるのではないか。そこに「深み」が加わってきた感じがある。こういうのは、絵をセンスで捉えて、単に「良いなー」ってなってしまう。

 

いずれにせよ、これを見て、やっぱ、絵は良いなー。アートは良いなー。アートが一番「高み」を蓄積する手段としては良いんじゃないか?そんな事も思った。

 

ひとまず、あとは画集が到着してから考えたい。前見た時もそうだったが、見終わっての感想が結局「よく分からない」なので、感想も書きづらい。そんな感じに収束しつつ、でも、結局は、絵に惹かれて行き、そしてまた「次」が見たいと思わされる。そんな絵だった。

 

E-girls「Diamond Only」MV

 

 


E-girls / Diamond Only (Music Video) - YouTube

 

 

 完璧にコマーシャルな作品  ☆☆☆

 

 

 素晴らしすぎる。

 

 

 人の内面をほとんど描く事もなく、ファッションとダンスと軽快な音楽で成り立ってる様式美のような感じでポップ。これだけ高性能なものは久々に見た感じ。

 

 

 Follow me以来、久々にE-girlsでハマったというか、ハマったのが2曲というべきか(candy smileも好きだけど)。

 

 

 途中の揃いの振り付けも良い。フォーメーションダンス的な奴。曲中、あれが素晴らしくアクセントになっていて、女性じゃないのにバッグが欲しくなる。女性じゃないので、買わないけど。

 

 

 フォーメーションダンスといえば、最近はモーニング娘。がしきりに言っているが、モーニング娘。がロック的な衝動を表現する為にフォーメーションダンスを採用してるのであろう事に比べ、E-girlsは完璧に訓練された「エンターテイメント」に徹していて「プロの技」という感じがする。人数の多さをうまく表現に使っていて、見せ方が素晴らしく上手い。

 

 

 今回、曲調もそうだが、冒頭には、制服ダンスもあり、割と過去の必勝パターンを踏襲してきた感じ。これはガチで凄いな。

 

 


E-girls / 制服ダンス ~Diamond Only~ - YouTube