
新・美術館の窓から―扉を開ければ心が洗われる 地方都市・桐生から、ロマンの幕はおろせない大川美術館
- 作者: 大川栄二
- 出版社/メーカー: 財界研究所
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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為になった ☆☆
大川美術館を創設した大川栄二さんによるエッセイ集。
そんなに昔の文章ではないが、文体が昔風なので、若い人には読みづらいかもしれない。
しかし、そういう文体で21世紀の出来事が語られるので、そのへんが逆に面白いと言うか、含蓄がある感じを受けた。
昔の人というと語弊があるが、かなりの経験を積んだ方の発言の数々なので、その言葉には重みがあり、また言ってる事も納得する事が多い。
最近、こういう過去も含めた教養のようなものをキチンと読まないと痛感する所もあり、これも最近のものながら、そういう感覚を受ける一冊であった。
特に、ミュージアム(=美術館は、作品の収蔵が主であるべき)とギャラリー(=展示だけの施設が美術館と名乗るのはいかがなものか?例、国立新美術館など)の混同、文化(=人間の根源に関わる普遍のもの)と文明(=時代により変化していくもの)との混同に関しての指摘はうなずける部分があった。割りと、そのへん、曖昧でいいやって方向に行ってる部分があるので、襟を正すべきだろうと思う部分もある。
また、地元に大川美術館のような本物の美術館があるという事もラッキーだなーというか、読んで、再度、誇らしく思えた。